はじめての近江八幡 近江八幡ってどんなところ? 観光地やグルメなど見どころをまとめてご紹介

琵琶湖の東岸に位置する近江八幡は、豊臣家2代目関白・豊臣秀次が開いた城下町。

近江商人発祥の地としても知られ、町のシンボルである八幡堀の周辺には、白壁の土蔵や古い商家の情緒あふれる町並みが広がっています。明治末期に来日し、この町に魅了されたウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計した西洋建築も数多く残っており、ノスタルジックな雰囲気も満点! 

豊かな歴史と文化が薫るこの町で、心に残る旅の思い出を作りませんか。

はじめての近江八幡 近江八幡ってどんなところ? 観光地やグルメなど見どころをまとめてご紹介

近江八幡って、どんなところ?

近江八幡は滋賀県のほぼ中央に位置し、美しい自然と歴史的な景観が調和する町です。琵琶湖に面し、水運に恵まれていたことから近江商人が活躍し、商業の中心地として栄えてきました。その象徴ともいえるのが、豊臣秀次によって整備された八幡堀。安土桃山時代に作られたこの堀は、今もなお、趣ある景観が保たれ、季節ごとに異なる美しい情景を見せてくれます。


八幡堀沿いにある日牟禮(ひむれ)八幡宮は、近江商人が信仰した氏神様で、春には左義長まつりや八幡まつりが行われ賑わいます。その他にも近江商人が活躍した城下町や、和洋折衷のノスタルジックな佇まいが魅力のヴォーリズ建築など、文化的な見どころが満載。近江牛や鮒ずしといった全国にその名が知られる名物グルメを味わえるのも嬉しいポイントです。ここからはおすすめスポットなど、近江八幡の魅力をたっぷりご紹介していきます!

【定番観光スポット】①:近江八幡発展のシンボル・八幡堀

八幡堀は豊臣秀吉の甥で、八幡山に城を築いた豊臣秀次(ひでつぐ)によって造られました。本来は防御用の堀でしたが、秀次は八幡堀を琵琶湖と繋ぎ、湖上を往来する船を寄港させることで「人・物・情報」を集め、城下を活性化。これが近江商人の活躍に大きく貢献しました。

今も石積や白壁の土蔵が並ぶ堀沿いの道は、映画やドラマのロケにも使われるフォトジェニックなスポットになっています。

毎年秋に開催される「八幡堀まつり」では、八幡堀にろうそくやLEDの灯りが燈され、幻想的な雰囲気に。八幡堀とこれから紹介する日牟禮八幡宮、八幡山、そして城下町エリアは隣接しているので、一度に巡ることも可能です。近江八幡の歴史が詰まった風情あふれる町並みをゆっくり散策してみてください。

【定番観光スポット】②:近江商人の守り神・日牟禮八幡宮

八幡山の南の麓にある1800年以上の歴史を誇る神社で、近江商人の守護神として信仰されてきました。厄除開運のご利益で知られ、楼門をくぐると災難が去るともいわれています。約4万4000平方メートルという広大な神域には、エノキやムクの樹が生い茂り、社殿や能舞台といった歴史的建造物も見応え十分です。八幡堀までは徒歩約2分、城下町エリアにもすぐにアクセスできるほか、境内には和菓子店や洋菓子店などが店を構え、喫茶スペースもあるので歩き疲れたら気軽に休憩することもできます。

年間を通して、様々な祭典・行事が行われており、中でも毎年3月に行われる「左義長まつり」と4月の「八幡まつり」は二大火まつりとして、全国的にも有名です。

【定番観光スポット】③:琵琶湖や城下町が見渡せるビュースポット・八幡山

標高271.9メートルの八幡山は、天正13(1585)年に18歳で近江43万石の領主に任じられた豊臣秀次が築いた八幡山城の城趾で、当時の石垣が今も残されています。本丸跡には秀次の菩提寺である村雲御所 瑞龍寺門跡が京都から移築されています。

山麓から山頂までは八幡山ロープウェーで片道約4分。登山道では約30分ほどの道のりです。

山頂からは琵琶湖、西の湖、旧城下町などが見渡せる大パノラマが広がっていて、四季折々の表情を見せる自然の風景を堪能することができます。麓には近江八幡のシンボル・八幡堀や日牟禮八幡宮があるので、合わせて巡るのがおすすめです。

近江商人の町並みが続く、【城下町エリア】を散策しよう!

八幡堀から南に道路を渡ると、近江商人の歴史と伝統が息づく城下町が広がっています。

近江商人とは本宅・本店を近江に置き、天秤棒を肩に全国を行商して歩いた商人のことです。近江八幡の城下町を歩けば、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という三方よしの精神で活躍した近江商人の暮らしぶりをうかがい知ることができます。

白雲館
近江商人が子どもの教育充実を図るため、建築費用のほとんどを寄付によって賄い、明治10(1877)年に八幡東学校として建てられました。西洋建築と日本の伝統技術が融合した擬洋風建造物です。現在は観光案内所が入っており、城下町散策の拠点になっています。2階のフリースペースでは各種催しが開催されています。
白雲館
西川甚五郎邸
天正15(1587)年に「寝具の西川」で知られる初代・西川仁右衛門が本店を構えた地に建つ大邸宅です。初代から12代目までの歴代当主が、第二次世界大戦前まで暮らしていました。通常は非公開ですが、春と秋に特別公開を実施しているほか、敷地内にある「西川甚五郎本店史料館」はどなたでも見学が可能です。
西川甚五郎邸
新町通り
滋賀県下で初めて国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された新町通りは、近江商人の屋敷跡が多く残る古い町並みです。江戸末期から明治にかけて建てられた家々には、火災が起きた際に延焼を防ぐ目的で、屋根に「うだつ」があげられているほか、塀越しには防火や景観美化の役割を果たす「見越しの松」が植えられていて、日本的な情緒を際立たせています。
新町通り
旧西川家住宅(重要文化財・旧近江商人宅)
近江八幡を代表する豪商・西川利右衛門の「大文字屋」本店兼旧宅です。西川家は蚊帳や畳表を商い、財を成しました。典型的な近江商家の面影を残すこの家は、店と居宅部分が分かれていて、広い座敷玄関を持っているのが特徴です。屋外には坪庭や庭園のほか、全国的にも珍しい3階建ての土蔵などがあり、11代に渡った西川家の繁栄を垣間見ることができます。"旧西川家住宅"と併設する"郷土資料館"、そして"歴史民俗資料館"は3館で近江八幡市立資料館を構成し、江戸期の近江商人の暮らしを今に伝えています。
旧西川家住宅(重要文化財・旧近江商人宅)
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旧伴家住宅(市指定文化財)
伴庄右衛門は江戸初期から活躍した八幡商人で、「扇屋」の屋号で寛永年間には東京日本橋に出店し、麻布・畳表・蚊帳などを商っていました。現在残っている旧伴家住宅は7代目伴庄右衛門能尹(よしただ)が江戸時代後期に十数年をかけて新築したものです。当時としては規模の大きい3階建てで、地震に耐えうる堅固な建物を目指し建てられたそうです。明治時代からは小学校、役場、女学校、幼稚園、図書館等へと変遷し、現在は市立資料館の一部として開館しています。
旧伴家住宅(市指定文化財)
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水辺の風景に癒やされる「水郷めぐり」「八幡堀めぐり」

文化庁の重要文化的景観第1号に選ばれ、日本遺産の「琵琶湖とその水辺景観―祈りと暮らしの水遺産」の構成文化財にもなっている近江八幡の水郷は、福岡の柳川、茨城の潮来とともに日本三大水郷の1つに数えられます。西の湖周辺の入り組んだヨシ原の湿地帯を巡る近江八幡の「水郷めぐり」は、古事記や日本書紀に描かれる「豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに)」(=日本のこと)という表現を想起させる自然豊かな原風景を楽しむことができ、古くは織田信長や豊臣秀次も戦乱の世の疲れを癒やすために遊んだとも伝えられています。


近江八幡の魅力を堪能できるもう1つの船遊びは、近江八幡のシンボル・八幡堀を形成する石垣の水路を行く「八幡堀めぐり」です。白壁の土蔵が立ち並ぶ八幡堀には、桜や菖蒲といった季節の花々が咲き誇り、映画やドラマのロケ地にも使われる歴史情緒たっぷりな景観を楽しむことができます。町歩きのついでに参加できる手軽さも魅力です。

【おすすめグルメ】①:三大和牛に数えられる近江牛

神戸牛、松阪牛と並んで三大和牛の1つに数えられる近江牛は、鈴鹿山脈を源流とする良質な水と肥沃な大地に育まれた東近江地域で生産されています。近江牛の特徴は、柔らかい肉繊維に含まれる脂肪部分、いわゆる“霜降り”の良さと肉そのものの香りの良さ。近江牛の本場である近江八幡市で、その美味しさを知り尽くしたプロが調理するグルメをどうぞご堪能ください!

【おすすめグルメ】②:琵琶湖特産の湖魚料理

広さ670平方キロ、275億トンもの水をたたえ、1,000種類以上の動植物が生息する琵琶湖は、近畿1,400万人の水瓶であり、豊かな食文化を支えてきた母なる湖です。近江八幡ではお寿司のルーツともいわれる「鮒ずし」をはじめ、ウロリ・モロコや、シジミなどを使った佃煮などたくさんの湖魚料理が楽しめます。沖島で獲れた新鮮な湖魚を堪能できる「沖島どんぶり」もぜひ一度ご賞味ください。

近江八幡の春は祭りのシーズン! 【春の三大祭り】

近江八幡には古くから伝わるお祭りが数多く残っています。とりわけ3月から5月にかけては市内各地で火を用いる行事が盛んに行われていますが、これらを総称して「近江八幡の火まつり」と呼び、国の無形民俗文化財に登録されています。火まつりの中でも最も賑わいを見せる日牟禮八幡宮の「左義長まつり」と「八幡まつり」。そして篠田神社で行われる「篠田の花火」を合わせて春の三大祭りと呼んでいます。

左義長まつり
毎年3月に行われる「左義長まつり」は、近江八幡に春の訪れを告げるお祭りです。元々は安土城下で行われていたもので、織田信長も自ら華美な衣装で躍り出たと伝えられています。祭りでは高さ3メートルほどの「左義長」と呼ばれる飾り物が担がれ、最後は日牟禮八幡宮で奉火されます。左義長の中心に据えられた「ダシ」は、その年の干支にちなんだものを、黒豆、小豆、胡麻、昆布、するめ、鰹節といった食材を用いて作り、町ごとに趣向を凝らしたデザインで競い合います。
左義長まつり
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八幡まつり
「八幡まつり」は毎年4月14日と15日に行われているお祭りです。14日の宵宮祭は松明祭とも呼ばれ、10メートル以上ある大松明をはじめとする大小30本以上の松明が奉納されます。松明に火が点されると壮大な火柱が夜空を焦がし、仕掛け花火とともに春の夜を彩ります。15日の本祭では各郷から大太鼓が日牟禮八幡宮に宮入りし、太鼓を打ち鳴らしながら渡御が行われます。
八幡まつり
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篠田の花火
毎年5月4日に開催される「篠田の花火」は、近江八幡市にある篠田神社で行われる全国的にも珍しい火薬を用いた祭事です。高さ約15メートル、幅約25メートルの杉板に、硫黄、硝石、桐灰などを調合して作る和火薬を塗り込んだ仕掛け花火に火が点されると、炎と煙が立ち上り、幻想的な絵柄が夜空に浮かび上がります。その美しい世界に魅了され、毎年県内外から多くの見物客が訪れています。
篠田の花火
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和洋折衷のノスタルジックな佇まいが魅力。【ヴォーリズ建築めぐり】

キリスト教の布教活動のため、明治38(1905)年に八幡商業高等学校に英語教師として来日して以来、近江八幡を愛し数々の功績を残したウィリアム・メレル・ヴォーリズ。教育現場を離れたあとは、建築設計をはじめ様々な社会事業を展開しました。近江八幡にはヴォーリズ設計による20軒あまりの建築物があり、西洋の建築様式を取り入れつつも日本の伝統と融合した和洋折衷のデザインが人気を集めています。

旧八幡郵便局
大正10(1921)年に建てられた旧郵便局舎。地元の保存団体が建物正面にあった曲線状のスペイン風玄関を復元して、現在一般公開されています。入館は無料。館内にはカフェを併設しています。
旧八幡郵便局
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アンドリュース記念館
明治40(1907)年建設のヴォーリズの処女作となった旧YMCA会館。現在の建物は初代のイメージを踏襲して、昭和10(1935)年に建て替えられたものです。春と秋には特別公開があります。
アンドリュース記念館
近江兄弟社メンターム資料館
(株)近江兄弟社本社1階ロビーを「メンターム資料館」として無料開放し、創業者であるウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏の歩んだ足跡をパネル展示しています。
近江兄弟社メンターム資料館
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ハイド記念館
ヴォーリズの妻・満喜子夫人が開設した幼稚園の園舎で、昭和6(1931)年に建てられました。閉園後は建設費を寄付した米メンソレータム社の創業者・ハイド氏にちなみ「ハイド記念館」と呼ばれ、現在も廊下や階段、教室、保健室などが当時のまま保存されています。館内には記録写真や絵画、解説パネルなどが展示されていて、ヴォーリズ夫妻の出会いや彼らの人生について知ることができます。
ハイド記念館
ヴォーリズ記念館
キリスト教の伝道や建築、医療、教育、社会事業と幅広い分野で活躍し、近江八幡市の名誉市民第1号となったウイリアム・メレル・ヴォーリズの記念館。ここはヴォーリズ夫妻が生前、実際に生活していた住宅で、木造の外壁に赤い屋根瓦、白い煙突、そして内部には広い居間や応接室、和室といったヴォーリズ建築の特徴が随所に見られるほか、ピアノや愛読書などの遺品や資料も展示しています。
ヴォーリズ記念館
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信長最後の居城。【安土城周辺エリア】

織田信長が天下統一を目指す拠点として築いた“幻の名城”安土城跡がある安土エリア。安土城は本能寺の変後に焼失してしまいましたが、石垣を残す雄大な城跡周辺には信長ゆかりのスポットが点在しています。

安土城跡
日本初の本格的天主を持ち、“幻の名城”と謳われた織田信長の最後の居城。天主は焼失していますが、標高約198メートルの安土山一帯にはその遺構が点在しています。天主跡と本丸跡には礎石が、二の丸跡には豊臣秀吉が建立したという織田信長廟があり、山門から続く石垣の道を歩けば、信長が築いた城の壮大なスケールを感じとることができるでしょう。
安土城跡
県立安土城考古博物館
安土城跡からの出土品や信長の文書など貴重な資料を展示。戦国時代の近江、安土城や信長の歴史に迫ることができます。
県立安土城考古博物館
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安土城天主 信長の館
館内に足を踏み入れると、1992年のスペイン・セビリア万博に出展された原寸大の安土城天主(5・6階部分)がお目見え。視界に収まりきらない大きさと、金箔10万枚を使用したという外壁や金の鯱など、豪華絢爛な意匠にまず圧倒されます。内部には信長が狩野永徳らに描かせたという『金碧障壁画』も再現されていて、安土城の往時の姿をリアルに体感することができます。
安土城天主 信長の館
安土城郭資料館
JR安土駅からすぐの場所にある城郭のような建物の資料館。日本初の本格的天主を持つ城として知られる安土城の1/20サイズの復元模型があり、当時の最新技術を駆使して築き上げられた城の内部構造まで知ることができます。『安土山図屏風』をローマ法王に届ける天正遣欧使節一行の様子が描かれた『安土城屏風絵風陶板壁画』も見もの。お土産が買える売店や、喫茶コーナーもあります。
安土城郭資料館

【西の湖周辺】に広がるヨシ原の原風景に癒やされる

四季折々の美しさを見せるヨシ原に囲まれた琵琶湖最大の内湖「西の湖」。ヨシの群生地は水鳥や魚たちの生息や繁殖の場として重要な役割を果たしているだけでなく、琵琶湖の水質浄化にも貢献しています。古事記や日本書紀では日本のことを「豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに)」と記しており、ヨシが茂った西の湖周辺の景色は、まさに我が国の原風景といえるでしょう。西の湖周辺を船に乗って回る「水郷めぐり」は、60分、90分のコースが選べ、お弁当や近江牛のすき焼きが食べられるコースもあります。

日本で唯一、淡水湖に浮かぶ【有人島・沖島】

平安時代の保元・平治の乱で敗れた源氏の武者たちが住み着いてから、人が住むようになったと伝えられる沖島は、現在日本の淡水湖に浮かぶ唯一の有人離島です。島の南西部には約230人が暮らす集落が形成され、市立小学校や郵便局などもあります。島民の主な生業は漁業で、昔から変わらないゆったりとした時間が流れているところが魅力の一つ。昭和の風情が感じられるノスタルジックな町並みに心癒やされると写真を撮りに来る観光客も増えています。堀切港からは船で約10分です。

水郷で育まれた歴史と文化が薫る町・近江八幡

八幡堀沿いの石畳の道、日牟禮八幡宮で行われる火祭り、日本の原風景を想起させる水郷、そしてヴォーリズが手掛けた西洋建築、etc…。さあ、豊かな歴史と文化が薫る町・近江八幡を楽しむ準備は整いました。近江牛や鮒ずし、佃煮、でっち羊羹、バームクーヘンなど、近江八幡でしか味わうことのできないグルメもぜひ堪能していってください。気になる情報があれば、詳細ページや特集ページもぜひチェックしてみてくださいね!

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