天空の寺 瑞龍寺
豊臣家ゆかりの地に建つ名刹で、絶景もアートも猫も撮ってみた!
近江八幡に天空の城跡に建つお寺「瑞龍寺(ずいりゅうじ)」があることをご存じですか?
織田信長、豊臣家ら戦国時代の歴史が息づく地、近江八幡。
現在の近江八幡の町並みの基盤となった歴史が八幡山には眠っています。
今回は山頂にある瑞龍寺について、実際に訪問して執事長にご案内いただいたレポートです。
瑞龍寺は天皇家にも豊臣家にもゆかりのある格式の高い寺で、庭園やアート、猫など見どころがたくさんありました!
Index

瑞龍寺への行き方 ロープウェーで空中散歩
ご紹介する瑞龍寺は、八幡山の山頂にあるので八幡山ロープウェーで向かいます。ロープウェーの公園前駅は、市内屈指の観光エリア、日牟禮(ひむれ)八幡宮のすぐ隣。
9~17時の間で、15分間隔で運行しているので、観光のついでにも気軽に乗ることができて便利です。
※時期により増便、運休などありますので、実際の運行状況は公式HPでご確認下さい
※ロープウェーの公園前駅までの電車・バスでの行き方
JR琵琶湖線・近江鉄道「近江八幡駅」下車
近江八幡駅北口6番乗り場より近江バス「長命寺行き」乗車約7分
「八幡堀(大杉町)八幡山ロープウェー口」下車 徒歩約5分
ロープウェーの料金は往復がお得!
大人片道540円、往復950円
子供片道270円、往復480円と往復だとお得!
体力がある方は、ロープウェーを使わずにハイキングがてら歩いてみてもいいかもしれません。
ロープウェーの公園前駅には近江八幡の名産品を買える売店もありますよ。
ロープウェーに乗って、いざ八幡山へ!
さぁ出発です。
さっきまでいた通りの車や人がみるみる小さくなりジオラマを見ているよう。
更に高度が上がると東方面に見えてくるのが琵琶湖の内湖、西の湖です。
見る方面により近江八幡の市街や比叡山も見渡せます。
心が解放されて気持ちいい!たった540円でこんな別世界を見せてくれるとは!
標高271.9mの山頂駅に到着しました。
乗車時間はたった4分ですが、されど4分。ぐんぐんと高度が上がり眺望が変わっていくので、4分間とは思えない濃密な時間を味わえます。
八幡山山頂に建つ瑞龍寺へ
山頂駅から5分ほど歩くと、風格のある山門が出迎えてくれます。
境内までは自由に拝観できますが入山料を募る木箱がありますのでお気持ちをお納めしましょう。
本堂の拝観料は500円、特別拝観時は600円です。(今後、変更の可能性もあります。ご訪問の際は公式HPからご確認ください)
瑞龍寺は天皇家ともつながりのある門跡(もんぜき)寺院。寺の歴史的背景は後ほど詳しくご説明します。
【寺の見どころ1】京都にも負けていない庭園と現代アートの壁画
今回は特別に執事長の佐々木様に隅々までご案内していただきました!
私が一番好きなのは、この渡り廊下です。
この青い蓮の絵…見たことがあると思ったら、絵師、キーヤンこと木村英輝さん作。京都の青蓮院門跡の現代アートの襖絵は、「映える」と人気ですが、こちらも同じ作家でテーマも同じ青い蓮!京都に行かずとも、こんなに素晴らしい壁画が見られるとは。
蓮の壁画の前に広がるのは白砂が美しい「妙法の庭」
ここに座り庭を眺めていると、心のざわめきが静まり返るようです。
奥にせり出した能舞台があるのが珍しく、そこでよし笛や雅楽の演奏がされたこともあったとか。すてきですね!
能舞台越しにお庭を見せて頂きました。
先ほどの壁に描かれた蓮は、白砂の庭を琵琶湖に見立てたものだそうです。
湖の風景を思い浮かべると、より一層心に響いてきます。
「このお寺に来て手を合わせ自身を見つめて心を癒してほしい。元気になって帰っていってほしい」
ご案内下さった執事長の優しいお言葉が心に染み入りました。
【寺の見どころ2】新旧アートの共存
もちろん現代アートばかりではありません。客殿では新旧のアート両方が楽しめるのも魅力です。
その一つ、こちらは最も格式の高い宮御殿「雲の間」で襖の美しさ、漂う気品にはうっとりします。この襖絵は狩野派の作。
こちらは現代美術家maisさんの作品。生命力あふれる曼殊沙華の襖絵です。
また、寺内の板戸にも彼女の絵が描かれています。全部で3か所あるのでぜひ探してみてください。板戸の絵は、新しいけれどずっと前からそこにあったかのように馴染んでいる作品です。
【寺の見どころ3】客殿からは琵琶湖を望む絶景!
客殿にある歴史を感じる木枠のゆらゆらガラス戸からは、天気が良ければ琵琶湖も望むこともできます。
また、客殿にはお香も焚かれており、五感が刺激されるよう。尼寺らしいきめ細かさとご住職の美意識が隅々まで行き渡っていることを感じます。
ご住職の前職を聞いて納得。気になる方はぜひお尋ねしてみて下さいね。
一般公開されていない写経の部屋を特別に見せていただきました。窓の外の景色を独り占めできる落ち着いた空間でした。
写経は事前予約制。貸し切りで心静かに自分と向き合えそうです。ご興味ある方はお問合せください。
【寺の見どころ4】境内にいる癒やしの猫たち
実は猫ちゃんとの触れ合いも大きな魅力。境内に数匹いる猫はお寺と地域の方でお世話をされているそう。猫たちは自由に過ごしているので、会えたらラッキー。見ているだけで癒されます!
御朱印や御城印も各種揃っており、猫の御朱印もあってとても可愛らしいです。
境内からは近江八幡の市街を一望できます。ベンチに座ってのんびり過ごすのもいいですね。
格式の高い瑞龍寺は天皇家とのつながりが!
お寺内で見かける菊の御紋。瑞龍寺の正式名称は、「村雲御所 瑞龍寺門跡(むらくもごしょ ずいりゅうじもんぜき)」といい、実は天皇家とつながりがある門跡寺院なのです。
瑞龍寺は1596年に日秀尼(とも)が創建。この方は豊臣秀吉の姉であり秀次の母にあたります。日蓮宗唯一の門跡寺院ということで、代々の住職は宮家や公家の息女が就かれていました。
元々は京都の村雲の地にあったので村雲御所と呼ばれ、昭和36年にここ八幡山城跡に移築されたそうです。門跡寺院らしい気品と優美な趣は、今でも途絶えることなく受け継がれているのです。
悲劇の関白、豊臣秀次と瑞龍寺とのつながりとは。そこには秘められたドラマが…!
ここで疑問。なぜ京都から近江八幡へ寺を移築したのでしょう?
実は八幡山にはかつてお城がありました。
上は当時の八幡山城の推定図ですが、その本丸跡にこのお寺が移築されたのです。
話は安土桃山時代、豊臣秀吉の時代に遡ります。
秀吉は甥にあたる秀次を養子にしています。1585年に秀次はここ八幡山城主となり城下町を作りました。
秀次はのちに関白にもなりましたが、秀吉に実子が生まれたことで後継者争いとなり、1595年秀次は自害させられ、それに伴い妻子ら39人が斬首されました。(秀次が自害した理由には諸説あります)
それで母“とも”が秀次らを弔う為に京都に建てたのが瑞龍寺であり、その後に縁があって秀次が築城したこの地に寺が移築されたという経緯です。
城は秀次が自害した1595年には廃城になっています。
が、母“とも”の祈りが届いたかのように、長い年月を経て京都からこの地に寺が移築されたのは何ともドラマチックです。秀次が短くも絶頂期を過ごしたこの近江八幡の地に400年近くたって彼は戻ってこられたのですから。自分が作った城下町のなごりで、今も美しく碁盤の目になっている街を日々見下ろしながら…。
まとめ
今回は八幡山にある瑞龍寺をご紹介しました。
秀次の菩提寺である瑞龍寺は、近江八幡市の歴史を語る上で欠かせません。ぜひお寺の中まで足を踏み入れて、秀次や母“とも”の想いに触れてみてください。
歴史や背景を知ると、目の前に広がる風景の見え方が変わるかもしれません。ここから城下町を見下ろしていた秀次に思いに馳せながら、ぜひ近江八幡の町並みを上から眺めてみませんか。
耳よりお得情報 無料の語り部ガイドを利用してみましょう!
4~11月は週末を中心に「八幡山山頂語り部ガイド」が実施されます。2025.4月以降の日程はHPでご確認ください。
無料で山頂の見どころを案内してもらえてとてもお得です。(ロープウェー料金、拝観料は別となります)
ただし瑞龍寺へは境内までの案内となりますので、山頂駅で自由解散後に改めてゆっくり拝観するのがおすすめです。

2026年大河ドラマにも登場するかも!?
2026年の大河ドラマは「豊臣兄弟!」です。主人公は豊臣秀吉の弟である秀長。
今回ご紹介した瑞龍寺を創建した“とも‘’はその豊臣兄弟の姉、そして秀次は彼らの甥という続柄です。
もしかしたらドラマにも登場するかも…!?来年のドラマも目が離せなくなりそうです。
ライタープロフィール
- りん
- 東京から近江八幡に越してきました。「住んでよかったまち、訪ねてみてよかったまち、もう一度訪ねてみたいまち近江八幡」を日々実感しています。近江八幡の魅力をどんどん深堀りしていきたいです。