島学区
市北部を占め、地域中央には長命寺山などの比較的高い山があり、沖島町を覗く集落は山々の南山麓の長命寺川沿いに展開されている。
市域の大半が平野部に広がっているのに対し、独自の景観をもつ。大中の湖が干拓されるまでの一帯は、琵琶湖の浮かぶ島のような地形となっており、陸の孤島とも呼ばれた。
白王町白部(若宮神社)
松明の特徴
高さ5mほど、笠の下に「ノォガケ」と呼ばれる菜種ガラの飾りが施される。
シュウシ松明
竹の担ぎ棒が取り付けられる。
大松明
青竹3本を先端で組んでテント状に立て、その中に松明を作った後の残り屑などを積み上げ、これに境内への入口の木に掛けておいた勧請縄を外してきて巻き付ける。
基本情報
神社名 | 若宮神社 |
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松明の名称・種類・本数 | 松明5~6基/シュウシ松明1基など |
祭礼名 | 若宮神社祭礼 |
場所(住所) | 近江八幡市白王町672 |
日時 | 4月第2土・日曜日 |
地域の概要 | 西の湖から長命寺川が琵琶湖へと注ぐその北岸に位置し、白部山を挟み王之浜と白部に分かれる。かつて湖に面した集落だったが、昭和中期の大中の湖の干拓事業によって内陸部となり景観が著しく変化した地域のひとつ。国の重要文化的景観「近江八幡の水郷」の構成地として白部全体が指定されている。 |
白王町王之浜(若宮神社)
松明の特徴
高さ5mほどで頭の笠の部分は、檜の葉で飾られるほか、松明中段付近には御幣が差し込まれ、また、正面に当たるところには、正面竹と呼ばれる飾りの青竹が取り付けられる。
大松明
高さ3mほどの青竹を4~5本立てて、その周りに松明を作った後の残り屑を積み上げて行くもので、最後にはその周囲に藁コモを被せるよう巻いて底辺がおよそ3m弱の円錐状になる。
基本情報
神社名 | 若宮神社 |
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松明の名称・種類・本数 | 大松明1基/松明2基 |
祭礼名 | 若宮神社祭礼 |
場所(住所) | 近江八幡市白王町 |
日時 | 4月第3土・日曜日 |
地域の概要 | 白部山を挟んで東側にある。集落が琵琶湖に面していたかつて、惟喬親王が流浪の末に寓居したという伝承が地名の由来になっており、若宮神社でも親王を祀っている。 |
圓山町(円山神社)
松明の特徴
笠松明
4mほどの杉の丸太を芯棒として、その周りに藁束やヨシの「ごもく(材料の残り屑)」などを巻き付けその形を整えてゆく。芯となる丸太は毎年使いまわしされている。松明が燃え終わるとこれを取り出して西の湖に浸して1年保存する。胴体の形が見え始めると、次にその周囲に菜種ガラを束にしたものを段々に取り付けてゆき、その先端の部分にはヨシを簾状に編み上げた飾りを巻き付けて美しく化粧を施す。松明の頭頂部にはヨシで笠が作られ、その上には杉の青葉が敷き詰められる。
最後に松明の正面に青竹が1本取り付けられ、青竹の先から笠の一方に向かって、 檜の枝や葉を針金で幾重にも巻いて作った男根状の作り物が立てられ、その隣に御幣がほぼ同一方向に取り付けられる。御幣に立てられた笠の付け根の一端に、ちょうど松明の高さ分ロープを渡した仕掛けが作られる。ロープの先に菜種ガラの束が括り付けられていて、祭礼当日にはこれに火がつけられて、その後もう一方のロープの端を引くと火のついた菜種ガラがそのままするする上がっていき、御幣に火が移るというものである 地元ではこの仕掛けを「サル」と呼んでいる。
大松明
5m以上はあろうかという大きな青竹3本をひと括りとし、先端に御幣を付けてから地面に立ててしっかり固定する。その底辺部の周囲にもちょうど八角形になるように等間隔に杭を打って囲い、その中に藁をいっぱいに敷き詰める。青竹の根元にはヨシを穂先が外側を向くように放射状に取り付ける。根元から順番に縄を通してヨシを蜘蛛の巣状に編み上げてゆく。完成した松明は地面に美しい幾何学模様を描き出す。
基本情報
神社名 | 圓山神社 |
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松明の名称・種類・本数 | ①:笠松明 4基 ②:大松明 1基 |
祭礼名 | 圓山神社祭礼 |
場所(住所) | 近江八幡市円山町 |
日時 | 4月17・18日に近い土・日曜日 |
地域の概要 | 西の湖沿岸にある三角州地帯の一角に位置する。立ち並ぶ家々の前にヨシの群落地が広がり、古くからヨシの生産加工で知られる。農作業にはヨシ原を越えて向かうため、小船に農具を積んで湖面を行き交った。国の重要文化的景観「近江八幡の水郷」の構成地として町全体が指定されている。 |
島町(若宮神社)
松明の特徴
ほんがら松明
芯となる竹を組んで中を空洞にしたもので、底から火を入れると炎が上がって松明の頭頂部に立てられた御幣にいち早く火がつく。松明の材料は菜種ガラ、ヨシ、荒縄、藁束、柱となる7mの枯れた竹9本。松明は竹6本を立て隙間に3本の竹を入れて括り柱とする。周りに藁を巻きヨシを松明の縁に巻き付け化粧付けする。頭頂部にはヨシを花弁状に取り付ける。ヨシの穂先は下向き。笠の周囲は菜種ガラや杉葉などで装飾する。菜種ガラを下の方からスカート状に巻き奇数段になるようにする。松明の三方に化粧竹を荒縄で結わえ先端の笠の一方に菜種ガラの束を帚状にした飾りを取り付ける。
基本情報
神社名 | 若宮神社 |
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松明の名称・種類・本数 | 松明6基/ほんがら松明 |
祭礼名 | 若宮神社祭礼 |
場所(住所) | 近江八幡市島町 |
日時 | 4月18日に近い土・日曜 |
地域の概要 | 長命寺山の南麓から長命寺川沿いにかけて広がる農業地域。隣接する北津田町との境界にある大嶋奥津嶋神社を氏神として祀り、祭祀儀礼もほぼ共同で執り行う。松明結いとその奉火は集落ごとに行われ、本日の行事は一緒に行う。中が空洞になったほんがら松明は、市内でも同町のみの独特の形状。 |
大中町(大中神明宮)
松明の特徴
松明の特徴は菜種ガラの段飾りがされないこと。松明自体の形状は頂部に笠を持つ作りのものである。装飾は笠の付け根あたりに注連縄が飾られ、神社の方向に向け「虎の尾」と呼ばれるヨシで作った飾りが立てられる。正面には青竹が取り付けられる。周囲は菜種ガラの代わりに「ホ」と呼ばれるヨシが段々になるように巻き付けられ菜種ガラはこの「ホ」の下に隠れてしまうのである。腹の辺りに御幣が立てられる。
基本情報
神社名 | 大中神明宮 |
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松明の名称・種類・本数 | 松明3基/引きずり松明1基/大松明1基 |
祭礼名 | 大中神明宮祭礼 |
場所(住所) | 近江八幡市大中町 |
日時 | 3月第3土・日曜日 |
地域の概要 | 干拓地の西に昭和43年(1968)に作られた集落で、氏神の大中神明宮は昭和51年(1976)に社殿が竣工した新しい歴史をもつ。開町当初は同じ業種の7~8軒が一組となって「協業体」と呼ぶ組織を作っており、松明は当時9つあった組が1基ずつ製作していた。 |
北津田町(大嶋奥津嶋神社)
松明の特徴
大松明
松明を作ったあとの残りの材料を積み上げ、その上にヨシの穂先を天に向けながら簾のように覆い被せてテント状に形を整え、その周囲に菜種ガラの束を敷き、杉葉で飾り付けを施しておく。
基本情報
神社名 | 大嶋奥津嶋神社 |
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松明の名称・種類・本数 | 松明6基/大松明1基 |
祭礼名 | 大嶋奥津嶋神社祭礼 |
場所(住所) | 近江八幡市北津田町529 |
日時 | 4月18日に近い土・日曜 |
地域の概要 | 長命寺山の南麓から長命寺川沿いにかけて広がり、島町と隣接する農業地域。両集落境界の大嶋奥津嶋神社を氏神として祀り、祭祀儀礼もほぼ共同で執り行う。春の祭礼では松明結いとその奉火はそれぞれの集落で別個に行われるが、本日の行事は一緒に行う。 |
中之庄町(天之御中主尊神社)
松明の特徴
松明
芯棒の周囲に藁を巻きつけ、さらに菜種ガラを15~20段になるように下から順番に巻いてゆく。頭部にはヨシの枝で笠が作られ、その周囲には飾りの杉葉が敷き詰められる。松明の先端の尖った部分には「チョウチョウ」と呼ばれる菜種ガラの束を5段にしたものが取り付けられ、最後に三方に化粧竹が結わえられ完成となる。その先端かもしくは胴体に御幣が立てられる。
送り松明
立てた笹竹を中心にし、その周りに松明を作ったときに余った材料を円錐状に積み上げたもの。
基本情報
神社名 | 天之御中主尊神社 |
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松明の名称・種類・本数 | 松明5基/振り松明6基/送り松明 |
祭礼名 | 天之御中主尊神社祭礼 |
場所(住所) | 近江八幡市北之庄町1098 |
日時 | 4月第3土・日曜日 |
地域の概要 | 長命寺山の南山麓に位置する農村集落。古くからこの地に居を構えている家筋がほとんどとなっていることから、氏神である天之御中主尊神社に関わる祭祀組織なども、伝統的な形式を色濃く残しているとされる。 |
長命寺町(日吉神社)
松明の特徴
松明
5mくらいで太さは底の部分でおおよそ1m。芯棒をころがしながら、藁束を巻きつけて胴体を作っていく。藁は17段くらいで必ず奇数にする。先へ行くほど細くしてゆき7段目くらいから柄の部分を短く切って使用する。胴ができると次はヨシを巻いて形を整えていく、ヨシは巻きやすいように3ヶ所で2本ずつ編んでいき、松明の本体に巻き付けた後で荒縄で五重巻きにする。荒縄は男結びとする。ヨシは先端部分から約1mのところで数本ずつまとめ折り曲げて鉄の輪をはめ込む。松明の先端には菜種ガラを束ねたものを立てる。正面には真竹の飾りを神社に向けて取り付け、笠の周囲などには杉葉で飾りをする。
雌松明(1基)
5mくらいで太さは底の部分でおおよそ1m。長さ5~6mほどの青竹を円錐状に立てる。菜種ガラを14束ほど編むように巻いていき、その上から縄で上の輪に結んでいく。菜種ガラの数は奇数であればかまわないそうなので、大体11~13段にする。笠は竹で作った輪を笠の骨とする。本体の長さを2mほど残して菜種ガラを巻き終え、そこに藁束をさらに奇数回括ってその部分にヨシを飾り付ける。ヨシはあらかじめ簾状に編んでから巻きつけ、荒縄で一度固定し簾にしておいた括りを切りほどき芯竹の長さにあわせて切りそろえる。ヨシの穂先15cmほどから約50cm間隔に荒縄で三重に堅く縛ってゆく。ヨシをつけたあたりに首飾りと呼ばれる杉の葉を飾り、正面に飾り竹を取り付け、ホウキと呼ばれる飾りを取り付ける。
基本情報
神社名 | 日吉神社 |
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松明の名称・種類・本数 | 松明4基 |
祭礼名 | 日吉神社祭礼 |
場所(住所) | 近江八幡市長命寺町 |
日時 | 4月12・13日 |
地域の概要 | 市北西端の琵琶湖沿岸に位置し、長命寺の門前町でもある。かつては土産物屋などの商店や宿が軒を連ねていたが、現在は激減している。もともと春の祭礼に松明行事はなく、始まったのはここ100年の間のことと伝わる。 |